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この記事を読んでいるあなたは「平屋の耐震性」についてどんなイメージを持っていますか?
中には「平屋は古いイメージで地震が来たらすぐ壊れそう」「大黒柱があるので意外に丈夫かも」と思っている方もいると思います。
そこで今回は、平屋の耐震性や耐震補強の方法などを詳しく解説していきます。
平屋は耐震性が強い傾向
ここでは、平屋は2階建ての住宅よりも耐震性が高い理由を解説します。
シンプルな構造
平屋は1階部分のみで2階建てや3階建てよりもシンプルな構造です。
建物形が四角形に近いほど地震などの振動が分散されて、柱が家を支えて倒壊する危険性を下げてくれるのです。
複雑な構造の建物は振動によって発生するエネルギーが1点に集中する危険性があり、平屋よりも倒壊する可能性が高くなります。
建物の高さが低く軽い
建物の高さが低くて軽いことも、平屋の耐震性に大きく関係しています。
建物は高く上部が重いほど、振動の影響を強く受けて揺れが大きくなる傾向が見られます。
その反面、平屋は高さが低く上部(2階部分)が無いので、揺れの大きさが小さくなり建物への負担が軽減される仕組みです。
中古の平屋住宅は低価格というメリットはありますが、各部分には劣化は見られます。
柱や壁どの目に見える部分だけではなく、壁や基礎に隠れている柱などの目に見えない部分もあります。
また、家が建てられたタイミングで耐震性が大きく変わるのです。
1981年6月1日以降に建築確認申請を取得して建てられた平屋は、新耐震基準における震度7の揺れでも倒壊しないような構造です。
それ以前の耐震基準では震度5強の揺れに耐えられるように設計されています。
建てられた年代によって耐震性が変わるので、築年数が古い平屋は安心とは言い切れないのです。
平屋が自然災害に強い理由
平屋は地震や台風に強い
“地震に強い家”と聞くと、一般に、地震によって受ける揺れが小さく、建物への負担が少ない“平屋”がいいと言われます。
その大きな理由は、「建物の低さ」と「シンプルな間取り」です。
平屋は長方形・正方形といったシンプルな間取りが多いため、構造の観点からも、耐震構造を作りやすいと言われています。
平屋住宅は地震や台風に強いメリットも兼ね備えています。
台風の建物への負担は雨だけではなく風圧への対策も重要です。
建物の高さが低く屋根のみで軽量の平屋は、下から吹き上げる風力への抵抗が少ないのが特徴なのです。
こうした点から、地震や台風などの自然災害に強い家として平屋が選ばれる機会が増えているのです。
平屋なら安心でもない
平屋ならどんな地震や台風に強いというわけではありません。
平屋住宅を建てるときに注意するのが構造です。
平屋の建設で重要なのは耐震性を考慮した柱や壁の位置などの耐震構造です。
広いリビングや間仕切りできる部屋を採用する間取りでは、空間を最大限利用しようとすると重要な柱を減らすことにもなります。
「必要な箇所に必要な柱があった上での耐震構造」に注意して、間取りを決めることおすすめします。
地震に強い構造とは?
ここでは、地震に強い住宅の構造について解説します。
現在の建築基準では、鉄骨・鉄筋コンクリート・木造・SE構法などの構造を選んでも震度6強の地震でも倒壊や崩壊しないよう設計することが定められています。
しかし、その耐震の仕組みや倒壊までのメカニズムが異なります。
鉄骨構造
鉄骨構造は骨組みに鉄や鋼を使用する構造です。
鉄骨構造は大きく以下の2種類に分けられます。
・鉄骨の厚みが6mm未満の軽量鉄骨
・鉄骨の厚みが6mm以上の重量鉄骨
どちらも地震による揺れに強く倒壊しにくい反面、熱に弱く火災が発生した際には注意が必要です。
大きなマンションやビルなどに頻繫に使用される重量鉄骨は、1本の鉄骨が厚く頑丈で軽量鉄骨に比べて骨組みの本数が少なくて済むのです。
そのため、広い部屋に対応しやすく建築できる間取りのパターンが多いのが鉄骨構造の特徴です。
ちなみに、重量鉄骨はコストが高く通常の住宅であまり普及していないのも現状です。
一般住宅や小規模のマンションやビルなどに多く使用される軽量鉄骨は、1本の鉄骨の重量が軽くて大掛かりな地盤改良が不要です。
そのため、重量鉄骨に比べて建築スピードが速いのが特徴です。
重量鉄骨に比べてコストを抑えられるので、工期を急ぐ方やコストを抑えたい方に最適です。
その反面、耐震構造を維持するために使用する鉄骨の数が多く建築できる間取りパターンが少ないのがデメリットです。
鉄筋コンクリート構造
鉄筋コンクリート構造は地震の揺れを感じやすい反面、高い強度で倒壊しにくい特徴があります。
そうした特徴があるので、マンションや商業施設などで広く使用されています。
鉄筋コンクリート構造は耐用年数も長く、遮音性に優れているなどのメリットもあります。
コンクリートは熱伝導率が高いので、温暖差がある日本では快適な室内温度を保つための工夫や費用が掛かったり、高い建築コストや壁が重くなるため壁の下に必ず壁が必要になるなどデメリットも見られます。
木造・SE構法
木造・SE構法は、コスト面だけではなく日本の風土にあった構法です。
平成27年に農林水産省が行なった消費者モニター向けのアンケートでは、「今後住宅を買ったり建てたりする場合に選びたい住宅」について質問しました。
その結果、鉄骨や鉄筋などの非木造住宅と回答した人の11.1%に対して、木造住宅と回答した人が74.7%と日本の戸建て住宅建築では木造住宅が圧倒的に支持されているのです。
※参照:農林水産省「森林資源の循環利用に関する意識・意向調査」
耐震補強の方法とは?
最後に、耐震補強の方法について解説します。
最初に行ないたいのが基礎自体の補強です。
基礎が劣化していると建物が崩れたり、建物が横転する場合もあります。
続いて行ないのが、柱と土台のつなぎ目の補強です。
先程解説した新耐震基準で倒壊した住宅の大半が、つなぎ目の状態が不良だったデータも残っています。
最後に行ないのが壁を強くすることです。
建物自体の耐震性を高める工事で、住宅に耐力壁と呼ばれる壁をバランス良く配置することで、建物全体の耐震性を高める効果があります。
まとめ
今回は、平屋の耐震性や耐震補強の方法などを詳しく解説しました。
平屋は建物の低さとシンプルな間取りで地震に強い構造です。
しかし、全ての地震に耐えられる訳ではないので、耐震構造を取り入れた住宅を建てることがポイントです。
今回の記事が平屋建築の参考になれば幸いです。