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昨今、平屋住宅が人気です。
マイホームの新築または購入は、人生の一大プロジェクトであり、取引の過程では様々な法律が関わってきます。
法律を知らずに取引を進めてしまうと、思わぬ落とし穴に遭遇するリスクも否定できません。
必ずしも建築主や購入者が建築に関わる法律に熟知する必要はありませんが、マイホームとして平屋を選ぶなら、どのような法律が関わってくるのか知っておくと、より安心です。
本記事では、平屋を選ぶなら知っておきたい法律をまとめて紹介しています。
取引を進めるうえで特に関心のある法律があれば、本記事を機会にチェックしてみるようにしてください。
売買契約や広告規制関連の法律
マイホームに平屋を選ぶには、先ずは不動産業者選びから始まります。
不動産業者は、不動産の表示に関する公正競争規約に基づいて広告を行っている業者を選ぶ、つまり極論すれば、広告内容と実際の物件が違うといったことがある場合は要注意ということです。
この規約に反する広告は誇大広告の可能性があり、そのような不動産業者を選ぶとトラブルに巻き込まれるリスクは大きくなります。
実際にマイホームの新築や購入に際しては、宅地建物取引業法の規制により、宅地建物取引業者から、重要事項の説明を受けたうえで、土地及び建物を購入することになります。
取引を行おうとする宅地建物取引業者が、宅地建物取引業者票の掲示を行っているか、重要事項の説明を行っているかについては注意しておくようにしましょう。
売買契約を締結し、土地と建物を購入すると、不動産登記法に基づく登記手続きを行いますが、通常は司法書士に代行を依頼することになります。
さらに不動産の売買契約には消費者契約法が適用され、契約締結の過程において、不動産業者の行為によって勘違いするようなことや、困惑するようなことがあった場合には、売買契約を取り消すことがでる内容です。
また、契約書に購入者の利益を不当に害するような条項がある場合には、その条項は無効となります。
契約を取り消すには、購入者が勘違いなどに気付いてから1年以内もしくは、売買契約から5年以内という制限があるので覚えておいてください。
それでは、この章に関連する法律について簡単に説明しておきます。
宅地建物取引業法
マイホームを購入する際には、宅建業者と取引をすることになりますが、宅地建物取引業法は、宅建業者の免許制度や適正な業務について定めた法律です。
宅地建物取引業法で、宅建業者の業務が適正化されることで、宅地及び建物の取引の公正が実現されます。
不動産登記法
マイホームを購入すると、土地や建物について登記手続が必要なため、不動産登記についての内容や登記方法について定めた法律です。
不動産登記法で登記が公示されることにより、不動産取引を安心して進めることが可能になります。
不動産の表示に関する公正競争規約
不動産の表示に関する公正競争規約は、不動産広告のルールについて定めた規約です。
マイホーム選びの際の広告について、重要な事項を掲載すること、誇大広告とならないようにすることなどが規定されています。
消費者契約法
消費者と事業者との間で取引を行う際は、どうしても情報の質、量さらには交渉力などについて大きな格差が発生しがちになります。
消費者契約法は、その格差から消費者を守るための法律です。
土地や住宅を購入する際には、消費者契約法による保護を受けることができます。
民法
民法は、売買など日常生活にかかわる法律の一般原則を定めた法律です。
マイホームを購入する場面でも、売買契約を締結することになるので、民法のルールが適用されることになります。
建築関連の法律
一定面積以上の土地を購入した際には、国土利用計画法に基づく届出を、契約締結日から2週間以内に、当該の土地が所在すると市町村長を経由して都道府県の知事に対して行います。
一定面積とは、
- 市街化区域内:2,000平方メートル以上
- 市街化区域以外の都市計画区域:5,000平方メートル以上
- 都市計画区域以外の区域:10,000平方メートル以上
になりますので、マイホームのための土地としては広すぎることもあり、一般的には馴染みがないものです。
一般的な広さの平屋を都市計画区域内に建築する場合には、建築基準法に基づく建築確認申請が必要になります。
都市計画区域は都道府県により指定されるので、先ずは、購入する土地が都市計画区域内のものなのか、区域外のものなのか確認するようにしましょう。
建築確認申請が必要になる場合、容積率、建ぺい率、高さの制限を受けることになります。
土地を購入しても、その土地内で無制限に建物を建築できる訳ではないことは知っておいてください。
特に平屋の場合には、建ぺい率の制限を考慮すると、十分な広さの建物を建築するためには、相当程度の広さの土地が必要になります。
また、平屋を新築する場合には、都市の低炭素化の促進に関する法律や長期優良住宅の普及の促進に関する法律の認定を受けられるように建物を設計することもおすすめです。
所得税等の軽減など税制面での優遇や補助金を受けることが可能になるので、費用を抑えることができます。
補助金については「こどもみらい住宅支援事業」が注目されており、弊社リブワークは、こどもみらい住宅支援事業者として登録済み(登録番号:A02293)ですので、ご相談ください。
それでは、この章に関連する法律について簡単に説明しておきます。
国土利用計画法
国土利用計画法は、土地の投機的取引、地価の高騰抑制とともに、適正かつ合理的な土地利用の確保を図ることを目的とした、土地取引における届出制を規定した法律です。
マイホームのために購入する土地に関しては、届出対象となる面積である可能性は低いため、参考として記述しています。
都市計画法
都市計画法は、都市の計画的な整備について規定した法律です。
平屋のマイホームとの関係では、建設制限などについての規定が定められています。
建築基準法
建築基準法は、建築物の敷地・設備・構造・用途についての基準を定めた法律です。
平屋のマイホームを建築する際にも、建築基準法の範囲内となっていることが求められます。
都市の低炭素化の促進に関する法律
都市の低炭素化の促進に関する法律は、社会経済活動などに伴って発生する二酸化炭素の相当部分が都市部で発生していることから、都市の低炭素化の促進を図り、都市の健全な発展に寄与することを目的として制定された法律です。
長期優良住宅の普及の促進に関する法律
長期優良住宅の普及の促進に関する法律とは、良質な住宅を長く使用することで、環境への配慮と住民の豊かな暮らしの実現を目的として制定された法律です。
長期優良住宅の認定を受けると、税制面での優遇や補助金を受けることができます。
アフターフォロー関連の法律
住宅の品質確保の促進等に関する法律がありますが、基本的に、
- 住宅の品質確保の促進
- 住宅購入者等の利益の保護
- 住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決
を目的に制定されています。
例えば、工事業者や建売業者は、建物の構造耐久上主要な部分や雨水の侵入を防止する部分について、最短で10年間の瑕疵担保責任を負うことになります。
さらに工事業者や建売業者は住宅性能評価書を作成し、その評価書に表示されたとおりの性能の住宅を引き渡す義務を負うことになるのです。
ただし、住宅性能表示制度の利用については、住宅の供給者つまり不動産業者やハウスメーカーおよび契約者(取得者)の義務としているものではありません。
しかし、マイホームとして新築の平屋を建築あるいは購入する場合は、なるべくなら住宅性能評価制度の利用をおすすめします。
設計と引き渡しの段階で、住宅性能評価書に表示された性能を有しているのかどうかを確認できるからです。
引渡し後のトラブルにおいては、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づいて、10年以内であれば業者に対して瑕疵担保責任を追及することができます。
ゆえに新築住宅については、少なくとも10年間は手厚いアフターフォローを受けることが可能です。
それでは、この章に関連する法律について簡単に説明しておきます。
住宅の品質確保の促進等に関する法律
住宅の品質確保の促進等に関する法律とは、新築住宅の品質を確保し、住宅購入者の利益保護を図ることを目的として制定された法律です。
特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律
住宅の品質確保の促進等に関する法律で規定されている瑕疵担保責任について、その履行を確保するため、業者に対し、保証金の供託または保険加入による資力確保措置を義務付ける法律です。
税金関連の法律
新築住宅の建築あるいは購入において、特に土地取引の価格、固定資産税や相続税の課税の適正さなど、なかなか一般消費者が判断することは難しいものです。
そのために以下のような指標が定期的に公表されています。
- 地価公示(国土交通省)
毎年1月1日時点における標準地の価格
- 路線価(国税庁)
毎年1月1日時点における土地に面した道路の価格
公示地価の80%
- 固定資産税評価額(市町村)
固定資産評課税台帳記載の土地・家屋評価額
公示価格の70%
地価が公示されると、土地取引を行う者には、公示された価格を指標として取引を行うという努力義務が課されます。
土地の価格が公示された価格とかけ離れた金額となっていないかをチェックするには、不動産業者間での価格の違いがあるかどうかを見るとよいです。
住宅を手に入れた後に支払うことになる固定資産税については、固定資産税評価額に基づいて計算されます。
もし固定資産税評価額を事前に知りたい場合は、近隣の土地の固定資産課税台帳を閲覧して参考にするとよいです。
相続税と贈与税の財産評価には路線価(公示価格の80%)が用いられますので、土地の相続または贈与などがあれば気にかけておくべき指標となります。
地価公示法
地価公示法は、土地の正常な価格を公示することにより、土地の取引価格に対して指標を与え、適正な地価を形成することを目的とした法律です。
まとめ
新築の平屋を建てる、あるいは購入するには、さまざまな法律が関わります。
法律の多くは、建築主や購入者を保護する目的で制定されたものです。
しかし、法律そのものは難解であるため、法律の名前だけでも把握しておくことで、安心のきっかけになります。
気になることについては不動産業者やハウスメーカー、あるいは建築士に質問して、できるだけ解消するようにしてください。
本記事が平屋新築を決断する手助けになれば幸いです。
追記
本記事では不動産の取引に関わる法律を、一部、紹介したに過ぎず、情報の正確性を担保するものではないため、一切の責任は負いません。
具体的な法律に関する相談、トラブル等は、弁護士など専門家へご依頼ください。